この記事でわかること
・税金は、自己申告して納めるのが原則
・会社員はその例外。「源泉徴収制度」によって会社が申告と納税を代行してくれる
・源泉徴収制度のメリットは「国にとって徴税のコスパが高い」こと
自分の納税額を知らないサラリーマン、それで大丈夫??

▼この記事は、こちらの続きです!

実は「税金は本来、自己申告で納めるもの」だった
サラリーマンのみなさんは、自分が支払っている所得税額がパッと出てこない人が多いと思います。
なぜならサラリーマンは、税金を自己査定し、自ら申告して納めるという「納税者の基本動作」を免除されているから。そんな制度に飼いならされてしまったサラリーマンが、実はどれだけ割を食っているかについて、公認会計士の安部忠さんが書いたこちらの本を参考に感じたことを書いていきたいと思います。
この記事の参考書
・安部忠さん「税金ウソのような本当の話」
日本は1947年に「申告納税制度」採用|自己申告→納税が基本

歴史を紐解くと、日本は戦後まもない1947年に「申告納税制度」を採用しています。
申告納税制度のもとでは、市民が税額を自分で査定して、税務署に申告するのです。
自己申告手続きのことを「確定申告」といいます
納税者は年に1回、原則2月16日から3月15日までの間に前年の所得税を税務署に自己申告します。これを確定申告といいます。
ちなみに明治期から敗戦までは、税務署が市民の税額を計算して知らせる「賦課課税制度」でした。
会社員は例外的に、自己申告を免除されている

会社が納税を代行する「源泉徴収制度」
税金は自分で計算して申告するのが原則なのに、会社員は誰一人として所得税を税務署で自己申告しません。それは、「源泉徴収制度」という納税手段が用意されているからです。
会社員の所得税は、本人に代わって支払者(=会社)が税額を計算し、給料から天引きして税務署に納めます。
源泉徴収は自己申告納税の「例外」だった!
安部忠さんは、「税金ウソのような本当の話」の中でこう書いています。
わが国の所得税制度は、納税者個人が所得や税金を計算する「申告納税制度」が原則であり、「源泉徴収制度」は簡便かつ例外的な納税法とされている。
安部忠「税金ウソのような本当の話」(講談社、1995年)
毎月の所得税額は「みなし額」として源泉徴収(つまり会社によって天引き)されます。
サラリーマンの所得税は、毎月概算で徴収→年末に精算(年末調整)
月ごとに源泉徴収される所得税額は、国税庁が公表している「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に基づいて概算します。
1年間トータルの正確な所得税額は、年末に計算します。
そして、みなし額12か月分の合計と、1年間の正確な所得税額の差を補正する。これを年末調整といいます。
源泉徴収票は、1年間の収入と支払った所得税の記録

年末調整を経て1年間の所得税額が確定すると、会社から「源泉徴収支払票」という書類が発行されます。
この「源泉徴収支払票」は、1年間の収入と支払った所得税の記録です。
源泉徴収票は、転職時や住宅ローンの借入時に必要
たとえば次のような時に使うので、捨てない方がいいです(会社に頼めば、再発行してもらえるけど)。
・会社勤めの給料以外に副業収入があって、自分で確定申告するとき
・転職するとき(新しい職場に提出する必要あり)
・住宅ローンを組むとき
源泉徴収の対象になる所得一覧!プロ野球選手の年俸も
ちなみに源泉徴収の対象となる所得は、会社員の給料のほかにもいくつかあります。プロ野球選手の年俸や、芸能人のギャラなどもそうなんですね。
①雇用契約に基づく給料・賞与・退職金
②法律に基づく老齢年金・退職年金・恩給
③利子・配当所得
④報酬・料金のうち、原稿料・講演料・出演料・弁護士、税理士、プロ野球選手、芸能人、クラブホステス等の報酬
⑤その他法律に基づく特定の所得
安部忠「税金ウソのような本当の話」(講談社、1995年)
なぜ源泉徴収制度がある?|国にとってのメリット2つ

所得税法は会社に対し、源泉徴収を義務付けています。
この仕組み、国にとっては2つのメリットがあるのです。
国のメリット①納税の義務がある人を100%捕捉できる

①納税の義務がある人を100%捕捉できる(自己申告だと、忘れる人、ごまかす人が現れる)
②税を徴収するコストがかからない(会社が徴税業務を代行してくれる)
国の立場から見た源泉徴収制度のメリットは、「納税の義務がある人を100%捕捉できる」ことです。ただし、補足されているのはサラリーマンだけ。自営業者はこのターゲットに含まれていません。
逆に言うとサラリーマンだけが、完全ロックオンされているのです。
自己申告だと払わない人が現れる|「クロヨン」「トーゴーサンピン」説
安部忠さんは、会員から徴収する所得税を税収の柱とする税制を批判しています。
その背景には、こんな事情がある。
サラリーマンの所得はほぼ100%近く捕捉され、源泉徴収によっていやおうなく天引きされる。(中略)それにくらべて、申告所得組の個人事業主や農家などの所得は30%から60%、政治家や宗教家にいたっては税金ゼロかせいぜい10%の捕捉率といわれ、極端な不公平を生む仕組みになっている。これがかの有名なクロヨン(9・6・4)、トーゴーサンピン(10・5・3・1)である。
安部忠「税金ウソのような本当の話」(講談社、1995年)
会社員ばかりがせっせと所得税を納めているが、ほかの働き方をしている人は実はそうでもない…という指摘です。どうやら統計的な裏付けはなさそうで、真正面から議論しにくいテーマですが、知っておくべき話だと思います。
国のメリット②税を徴収するコストがかからない
国にとっての源泉徴収のメリットは、「税の徴収コスト」がかからないことです。
これは、国の財政にとって重要な話でもあります。
なぜなら、1万円の税を集めるのに、督促、取り立ての事務経費や人件費で1万円かかったとしたら、実質の税収はゼロです。それならば最初から取らない方がいい、ということになります。
日本の100円当たりの徴税コストは、国税1.2円、地方税1.8円!
徴税のコストについては、財務省・財務総合政策研究所のウェブサイトにこんな統計が載っています。
表・税金100円あたりの徴税コスト
| 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
| 国税 | 1.30円 | 1.30円 | 1.24円 | 1.22円 | 1.28円 | 1.19円 |
| 地方税 | 1.82円 | 1.85円 | 1.78円 | 1.74円 | 1.80円 | 1.76円 |
ちなみに所得税は国税の一つ。
この表をみると、国税100円あたりの徴税コストは2020年度で1.19円。過去の統計をさかのぼると、1円を切っている年もあります。
徴税のコスパはどうやらとてもよさそうです。
国は企業に徴税業務を代行させ、徴税コストを抑えている
この高いコスパの維持に、源泉徴収制度が寄与しているのです。
国は会社に徴税機能を持たせることで、会社員から所得税を集めるコストをゼロにしているからです。
光あるところには、また闇もある

国にとってメリットだらけの源泉徴収制度ですが、光あるところには、また闇もあります。
国にとってのメリットは、僕ら会社員にとってのデメリットなのです。
「会社員にとってのデメリット」の話は、また別の記事で書こうと思います!
あらためて、今回の参考書
・安部忠さん「税金ウソのような本当の話」
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