「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」感想

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もくじ

今回のおすすめ本「もしドラ」とは?

都立高野球部が「マネジメント」の力で甲子園を目指す小説|2009年刊

今回レビューするするのは、岩崎夏海さんの小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(2009年)です。

280万部売れたというベストセラーです。タイトルが長いので「もしドラ」と呼ばれていましたね。
読んだことがなかったので、ふと手に取ってみました。

舞台は、西東京の進学校・都立程久保高校。主人公の川島みなみは2年生の夏、野球部にマネージャーとして「途中入部」します。程久保高校野球部は弱小ですが、みなみの目標はずばり、甲子園出場。

マネージャーとして、自分がすべきことは何か?

と考えたみなみは、

「マネージャーになったからには、野球部をマネジメントしないとな」

と思い立ち、ピーター・ドラッカーの「マネジメント(エッセンシャル版)」を手に取ります。

「マネジメント」に書かれている組織運営の極意を、野球部にどう適用するのか?
がこの本の読みどころです。小説仕立てなのでサクサク読めます。

著者の岩崎夏海さんは、秋元康さんの弟子で元放送作家

著者の岩崎夏海さんは、作詞家の秋元康さんに師事していた元放送作家。「とんねるずのみなさんのおかげです」「ダウンタウンのごっつええ感じ」などに参加していた経歴の持ち主です。

主人公・川島みなみのモデルはAKB48の高橋みなみさん(浅倉南ではなかった)

甲子園を目指す高校野球モノで、女子マネージャーと言えば、「タッチ」の浅倉南ですね。

「もしドラ」主人公の川島みなみも、「タッチ」にあやかったのだな、と思っていたら違っていました。

あとがきによると、登場人物の何人かは、AKB48のメンバーからとったそう。

どうやら、川島みなみのモデルは高橋みなみさんのようです。

チームリーダーや管理職を目指す人におすすめ!

ドラッカーの組織論を自分の会社に当てはめたら?と考えながら読める

「もしドラ」は、これからチームリーダーや管理職を目指す人におすすめです。
部下を持つのは、とかく気を使うし、ストレスが溜まるもの。
それまで第一線で伸び伸び仕事をしていた人が、マネージャーになった途端に輝きを失う、といった話もよく聞きます。

組織論をあらかじめ頭に入れておけば、部下をまとめる上での手際もだいぶ変わるはずです。

「もしドラ」は、「マネジメント」に書かれている組織運営の要諦を、非営利組織の野球部にどうやって当てはめるんだ??というギモンから始まります。

主人公の川島みなみらが、ああでもない、こうでもない、と議論を重ねながら結論に近づいていく過程は、読者が自分の職場に置き換えて考える上で参考になります。

おすすめの読み方①|野球部を例に「仕事の目的」を考える!

野球部とは何か?何をするための集団?

「もしドラ」の主人公・川島みなみが最初に直面した問いは、

「野球部とは何か?」

です。

「もしドラ」では、ドラッカーの「マネジメント」から、以下のくだりが引用されています。

自らの事業は何かを知ることほど簡単でわかりきったことはないかに思われる。
鉄鋼会社は鉄を作り、鉄道会社は貨物と乗客を運び、損害保険会社は火災のリスクを引き受け、
銀行は金を貸す。
しかし実際には、われわれの事業は何かとの問いは、ほとんど常に答えることの難しい質問であ
る。

つまり、野球部の目的は何か?という問いに対して、

野球をすることです!」という答えでは不十分だということです。

野球部に入る目的は人それぞれ|補欠・二階正義は「将来のキャリアのため」

野球部に入って活動する理由は、部員ひとりひとり違います。

選手として成長するため、甲子園に行くため、スポーツ推薦で大学に行くため、一つの道に打ち込んだ証とするため…

ちなみに程久保高校の野球部で最もヘタな万年補欠・二階正義が野球部に入った理由は、

「『体育会系』であるということが将来のキャリアで有利になるから」

です。二階正義は起業家志望で「ドラッカーの著作は全て読んだ」という人物。

川島みなみと組織論について議論を交わす相手役として登場します。

ドラッカーが問うているのは「提供価値」「企業理念・事業理念」

部員ひとりひとり目指すところが違うのだから、野球部が「何のための組織か」を定義することはとても難しいように思えます。「もしドラ」でも、簡単に答えは出ません。

単純に言えば、会社は「モノを売るための組織」「サービスを提供するための組織」ですが、

ドラッカーが問うているのは、その根っこにある「どんな価値を提供するのか」です。

企業理念や、事業理念のことですね。

これを言語化できていないケースは、往々にしてあるのではないかと思います。

自分の仕事に置き換えても、結構難しいです。

野球部を練習問題にして、それを考えさせてくれるのが、「もしドラ」の面白いところ。

そして「どんな価値を提供するのか」を考えるとき、考慮しなければならない重要な要素があります。

おすすめの読み方②野球部を例に「自分の顧客は誰?」を考える

ドラッカーの名言「出発点は顧客」

それは、「顧客は誰か?」ということです。

「もしドラ」でふたたび、ドラッカーの「マネジメント」が引用されます。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。 顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

このくだりを巡り、程久保高校野球部のマネージャー・川島みなみ、万年補欠・二階正義の2人は

「野球部の顧客は誰か?」という命題について激論を交わします。

野球部の顧客は…試合の観客?

たとえばプロ野球のチームだったら、顧客の筆頭は「球場に試合を見に来るお客さん」ですね。

チーム主催試合のチケットを観客が買ってくれることで、球団にお金が入ります。そのお金が選手たちの給料になります。

では、高校の野球部の顧客は、公式戦を見に来る観客でしょうか。

高校野球の公式戦は、試合数自体が多くありません。甲子園予選は負ければ終わりですし。

その数少ない試合を見に来る観客のために、野球部は存在しているのか??

どうもピンときませんね。たぶん違います。

顧客は親、先生、学校、高野連、ファン…野球部の活動を支える人すべて

ここから先、川島みなみと二階正義の議論の発展ぶりが、とても面白いです。

きっかけは、二階正義のセリフです。

「何も堅苦しく考える必要はないよ。確かに、野球部は球場に見にくるお客さんからお金をもらっているわけじゃないけど、それでも、タダでやってるわけじゃないだろ?ちゃんと、野球をやるためにお金を出してくれたり、おカネは出さないまでも、協力してくれている人たちがいるじゃないか」

ここから2人は、「野球部の活動を支えてくれる人すべて」が顧客であるという結論に達します。

たとえば、こんな人たちです。

・高校で野球をさせてくれる
・野球部の運営に携わる先生
・野球部の母体である学校
・学校の運営にお金を出している東京都
・東京都に税金を払っている東京都民
・甲子園を運営する高校野球連盟
・全国の高校野球ファン

いわゆるステークホルダーってやつですね。

こんな風に「顧客は誰か?」を広い視野で考えるのも、
自分の仕事に置き換えてみるとなかなか難しいことです。

野球部をテストケースとして頭の体操ができるのが、「もしドラ」の醍醐味です。

顧客は見えた。では、あらためて「野球部の目的」は?

顧客が野球部に求めているもの、それは…アレです
(阪神・岡田監督が言うアレではありません)

野球部の顧客は「野球部の活動を支えてくれる人すべて」である。

この結論に達した川島みなみと二階正義は、「顧客が求めているものは何か?」という視点から、
「野球部の目的」をあらためて考えます。

その結論は、ぜひ「もしドラ」を読んで確かめてください!

川島みなみと二階正義がたどり着いた答えは、

高校野球ファンなら、きっと誰もが身に覚えがある「アレ」です。
みなみ&正義は、その「アレ」を顧客に提供することが野球部のミッションだと結論づけます。
(阪神タイガースの岡田彰布監督がいう「アレ」とは違います)


高校野球が好きな人なら、一瞬で分かっちゃうかも…!

「もしドラ」は将来のリーダーになるあなたにおすすめです!

「人の力を引き出す」「チームを強くする」という難題に挑戦する人に

「もしドラ」は、これからチームリーダー管理職を目指す人におすすめです。

僕にとっては、

自分たちのチームの事業目的がうまく言語化されていないなら、それをチームメンバーで議論するところから始めてもいいんだ――
そんな気付きを与えてくれる本でした。

人の力を引き出す」

「チームの力を最大化する」

「成果を出す」。

そんな難しいミッションにこれから挑戦する人にとって、ヒントがたくさん詰まっています!

「もしドラ」書籍版はこちら!

僕が今回読んだのはこちらです。表紙がちょっと…若くもない男が読むには恥ずかしいのですけど。

コミック版もあります

「もしドラ」は2011年にコミック版も出ています。気軽に読みたい方には、こちらもおすすめです。

ドラッカー「マネジメント」も忘れちゃいけない

「もしドラ」を端緒に、ドラッカーの古典的名著「マネジメント」を読んだ人も当時、たくさんいたようです。

川島みなみが読んだ「エッセンシャル版」がこちらです。

「マネジメント」「もしドラ」の2冊セットも…!

なんと、「マネジメント」と「もしドラ」の2冊セットもある…

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本のラインアップは200万冊以上。

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劇場版&アニメ版も!映画のキャストは?

「もしドラ」マルチ展開ぶりはとどまるところを知らず。

2011年には、映画になりました。気になるキャストは…?

川島みなみ役|前田敦子さん

二階正義役|鈴木裕樹さん

浅野慶一郎(野球部のエース)役|瀬戸康史さん

加地誠(野球部監督)役|大泉洋さん

なかなか豪華なキャストです。

同じ年に、アニメ版も放送されています。

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