2023年、最低賃金の都道府県平均が「1000円超え」

都道府県別の新しい最低賃金(時給ベース)が、10月1日から14日にかけて、順次適用されています。
この最低賃金の都道府県平均が
「初めて1000円を超えた」
ことがニュースになりました。
▼2024.2.6追記です!
最高額は東京都の1113円。最低額は徳島県と沖縄県の896円。
47都道府県を加重平均すると1004円になるのだそうです。
このニュースを見て思い当たったのが、
アダム・スミスが発見した「見えざる手(市場の自動調整機能)」の話と、
大江英樹さんの「知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生」で読んだ話。
順を追って書きたいと思います。
最低賃金は厚生労働省「中央最低賃金審議会」で決まる
最低賃金は、厚生労働省の「中央最低賃金審議会」での議論を経て決まります。
審議会が新しい最低賃金を議論していた夏ごろ、朝日新聞の1面コラム「天声人語」(2023年7月30日付)がこのトピックを取り上げていました。
オーストラリア、最低賃金を2200円に引き上げ|理由は「物価高」

「天声人語」によると、オーストラリアは7月1日から、
最低賃金を約2200円に改定しました。
前年比8.6%、約170円の引き上げだそうです。
引き上げの理由は物価高。
政府が経済界の反対を押し切った、と書かれています。
(経済界が反対した理由については、後ほど書きたいと思います)
コラムはこの話を引きつつ、日本の賃金水準が他の先進国と比べて低いことに触れています。
結びでは、
最低賃金の「1000円超え」について「やはり遅すぎたというほかない」と評しています。
賃金の下限規制は、ほんとうに経済を上向ける?
時給が上がれば、そりゃあ誰だって嬉しいです。
でも、政府が賃金の下限に規制をかける政策が、果たして経済を上向けるのでしょうか…?
アダム・スミスの教え|「見えざる手」の天敵は、独占と介入

ロバート・L・ハイルブローナーさんの「入門経済思想史 世俗の思想家たち」(ちくま学芸文庫、2001年)に、
経済学の父、アダム・スミスが「国富論」で論じた「市場システム」に関する分析の要旨がわかりやすく書かれています。
アダム・スミスは、市場の自動調整機能を「見えざる手」と呼びました。
「見えざる手」は「価格」「供給量」「労働者の所得」を自然にととのえる

「見えざる手」が整えるのは、この3つです。
・商品の価格
・商品の供給量
・労働者の所得
「見えざる手」の邪魔をするのが「独占」と「介入」

そして、この「見えざる手の作用」を邪魔するものが2つあります。
それは、
・独占
・介入
です。
1つ目の「独占」には、談合なども含みます。
たとえば同業者が寄り集まってヤミ協定を結び、商品価格を一斉に釣り上げると、市場の自動調整機能が働かなくなります。
だから、こうした行為は独占禁止法で禁じられています。
もうひとつ、見えざる手の邪魔をするのが、「市場の外からの介入」です。
最低賃金規制=市場が決めるはずの「労働者の所得」への政府の介入
じつは、最低賃金規制は、「市場が決める労働者の所得」に対する政府の介入そのものです。
「見えざる手」が自然にととのえるはずの「労働者の所得」を、政府の介入によって無理やり引き上げると、何が起こるのでしょうか…?
最低賃金アップ⤴ 労働者は喜ぶけど…

企業が賃金を引き上げられる条件は、儲かる→物価上がる→もっと儲かるの好循環
下に書いたような好循環が生じているならば、企業は賃金を上げられます。
政府に頼まれなくても。
企業が儲かる
会社員の給料が上がる
消費者の購買力が高まる
需要が増えて物価が上がる
モノが売れてますます企業が儲かる
でも、今の物価高はまったく別物|要因はロシアのウクライナ侵攻
でも、今の物価高はこうした流れとは関係ないです。
ロシアのウクライナ侵攻で、燃料やら食料やらの価格が上がり、それが物価に跳ね返っているのが現状です。
企業の業績が伸びていないのに、政府に「従業員の給料を上げろ」と強制されたらどうなるでしょうか。
最低賃金の弊害①|人件費増で企業が採用難におちいる
経済コラムニストの大江英樹さんが
「知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生」(東洋経済新報社、2015年)
で、最低賃金の弊害をこう指摘しています。
それだけの給料が出せない会社は、人を採用できなくなります。これは企業にとっては当然の判断です。
大江英樹さん「知らないと損する 経済とお金の超基本1年生」(東洋経済新報社、2015年)
最低賃金の弊害②「給料安くても働きたい人」が労働市場から弾かれる

影響はそれだけではありません。
ふたたび、大江英樹さん「知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生」から。
さらにもっと恐ろしいことが起こります。
最低賃金以下でもいいから、働きたいという人たちは世の中に必ず一定数います。ところが規制でそれ以下の賃金は設定できませんから、結果としてはこういう人達は働きたくても働けなくなってしまうということになるのです。
大江英樹さん「知らないと損する 経済とお金の超基本1年生」(東洋経済新報社、2015年)
給料がどれだけ安くてもいいから、とにかく仕事がほしい、働きたい、という人がいる。
最低賃金制度は、待遇にかかわらず働きたい人から「働くチャンスを奪う」という側面があるのです。
まとめ
企業が支払う賃金の下限を強制的に決めてしまうという政府の介入は、
・人件費を積み増す余裕のない企業
・安い給料で構わないから働きたい人
の双方を労働市場から締め出すことになってしまうのです。
立場が弱い労働者を守る政策として定着している最低賃金制度ですが、
引いた目で見ると、
実は経済活動を弱らせているのでは?というお話でした。
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大江英樹さん「知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生」
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